村上隆と川越、今年見た2つの五百羅漢
今週のお題「今年見に行ってよかったもの」でパッと浮かんだのが、先週観に行ったばかりの村上隆の五百羅漢展。
日本の現代美術であまり見られない宗教観を全面に出した展示は、世界に日本文化を広める手法としても、スケール感や制作技術、全てにおいて脱帽でした。
そういえば、今年の夏にも五百羅漢の仏像を見てきたばかり。
歴史のある仏像群と現代アートで表現されるそれぞれの五百羅漢を見比べてみたいと思います。
埼玉県の川越と言えば、小江戸の町を散策するために多くの観光客でにぎわっています。
そんな川越で、今年はじめて五百羅漢を見ることができました。
喜多院にある五百羅漢は、日本三大羅漢のひとつとして、観光名所となっているそうです。これまで全然知りませんでした(笑)
喜多院の五百羅漢は、天明の大飢饉などで多くの命を失った供養のために造られたのだと、ガイドの方が説明してくださいました。
また、HPを見ると「深夜こっそりと羅漢さまの頭をなでると、一つだけ必ず温かいものがあり、それは亡くなった親の顔に似ているのだという言い伝えも残っています。」と書いてあり、現代にも癒しの心を伝え続けているのだと感じました。
50年もの間造られた仏像は、500体を超える数があり、全てを見るのはとても大変です。でも、当時の生活や道具、冗談を言っているような顔や動きが面白いので、ぜひ行ってみて欲しい場所のひとつです。
この奥が五百羅漢の入り口。
全部で538体あるそうです。
立ち姿、顔の表情、布の感じがとてもリアルです。
対話しているようなユーモラスなものも多い。
羅怙羅(らごら)尊者。
初期に彫られたものは、形がゆるく、苔むしています。
この日はとても暑かった。
さて、つい先週見てきた現代版の五百羅漢は、ヴェルサイユ宮殿での個展などで世界に日本の現代アート・ポップカルチャーを広めた村上隆の展覧会です。
先ほどの仏像とは違い、巨大なキャンバス上に古典の仏教美術を村上隆風に盛り込んだ壮大な現代アートです。
会場にそびえ立つ金のオブジェ。
五百羅漢展。
仏教に登場する僧侶や霊獣たち。この大きさに圧巻。
大小様々の僧侶たち。
行列。
波の色指定が細かそう(笑)
川越にもありました羅怙羅(らごら)尊者。
伝統色を用いた演出。和の文化の中に、ポワワンとしたキャラクターたち。
これぞ和(輪)な作品。
よく見ると背景はドクロでいっぱい。
達磨。
達磨の手。こちらも背景にドクロ。
背景のドクロは、他の作品にも多く見られましたが、生死の不穏な表現の他、作家としての心情がこめられているようなことが解説に書かれていました。
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私個人としては、表現方法が面白くて、つい細部にばかり注目してしまいましたが、
宗教観の薄い現代日本、特に若い人には、どちらの五百羅漢もじっくり見て、考えてもらいたいと感じました。
行ってきてよかった*